サプライチェーンの混乱について②で世界のコンテナ取扱量ランキングを紹介いたしましたが、このデータをみて驚愕し、”日本は世界の成長に取り残されている!”と感じました。
そこで、もう少し実態を把握したいと思います。そこで、下表は海運マーケットですが、業界別や生産物ごとの時系列で客観性のあるデータを比較することで、世界における日本の産業の実態に迫りたいと思います。
まずはGDP(国内総生産)
GDP(Gross Domestic Product)は国内総生産(WIKI)を示します。
一般的に年間で国内で生み出された付加価値額の総額で表され、各国の経済規模を測る指標として使われます。
付加価値額=販売価格ー総費用(原価・給与・税金)、つまり企業活動による儲けの総額を表します。
では早速データを見ていきましょう。各国のGDPは様々な機関がデータを提供していますが、ここではIMF(International Monetary Fund 国際通貨基金)が提供している、World Economic Outlook Database 2022年4月版 からデータを引用します。
世界全体のGDP
上記は1980年からの世界のGDPの推移です。
2009年のリーマンショックや2020年のコロナ禍によるマイナスで、グラフが凹んでいるのはお分かりいただけると思います。
ちょっと大きい数字でピンとこない方も多いかもしれません。
1980年を100として10年毎の推移を見てみましょう。
世界経済は40年で8.6倍に拡大しているということです。
今回は”日本は世界の成長に取り残されている!”を探ることがテーマです。
筆者は1970年生まれですので、1980年は小学生でした。
WIKIの1980年の日本の出来事(面白い記事です)を見てみると、日本の自動車生産台数が世界一位になった年だそうです。
その頃に比べれば経済成長はしていると思うのですが、正直なところ8倍になっているかどうか?という実感はよくわかりません。
2021年で日本のGDPは世界3位でした。では2021年時点での上位6カ国のGDP推移のグラフを見てみましょう。
米国と中国の伸びがやばいです。それ以上に日本は1995年以降ほとんど横ばいとなっています。2010年に中国に抜かれましたが、その後は右型下がりになっています。。。なんとも残念な話です。
では各国の変化を1980年を100として10年単位で見てみましょう。
そうです。日本はなんと2010年と比較した場合には縮小しているんです。
我が愛するイタリアもわずかですが、マイナスしてしまっています。
勢力図は着々と塗り替わりつつある
上位国の実際のGDPの数字を並べてみると、違った景色が見えてきます。
まずは、2大国といえる米国と中国です。2000年時点では8.5倍もの差がありましたが、2021年では1.3倍まで肉薄してきています。
我が日本ですが、やはりライバルのドイツと比較してみると、2000年時点では2.5倍の差がありましたが、1.16倍とこちらも肉薄です。
成長著しいインドもかつての宗主国であるイギリスとほぼ肩を並べるところまできています。
お隣の韓国も、2000年に比べて3倍強と力強く成長していることが分かります。
いろいろと見てみると、やはり”日本は世界の成長に取り残されている!”というのが実感されます。
では、勢力図ということで20年単位でのシェアの変化を見ていきましょう。
1980年ではG7(米国・日本・ドイツ・フランス・イギリス・イタリア・カナダ)が上位を占めています。世界のGDPに対するG7のシェアは62%と主導的な位置を持っていました。
2000年の姿は1980年とさほど変わりません。G7のシェアは64%と若干ですが拡大しています。日本も米国に近づいています。
コロナ禍から回復しつつあった2021年、2000年当時とは大きく様相が変わってしまいました。G7のシェアは44%と大きく下がり、従来の日本のポジションは中国に奪い取られてしまいました。
今回はGDPの変化について見てきました。残念ながら世界経済における日本の地位は着実に低下しているのがお分かりいただけたと思います。
次回以降、産業別のデータなどを比較してより実態把握を進めていきたいと思います。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。