ケーブルエントリーの Pg・M
- 2020/8/26
- ノウハウ, 活用法
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コネクタ活用法④ Pgネジてなに?
今回はエンクロージャのネジ、”ケーブルエントリー”の規格について説明します。
イルメのカタログを見ると、エントリーに”Pg”と”M”と表記があります。
“Pg”というのは聞き慣れないと思います。”Pg”ネジとはドイツの電線管用の特殊ネジ規格DIN40430で規定されたものを表します。ご存知のとおり、欧州生まれの角型コネクタはドイツの安全規格DIN VDE 0627が元となり発展したので、ケーブルエントリーもドイツ規格の”Pg”が幅広く採用されました。
“M”はメトリック(メートル法)を意味し、規格はISO 724 / JIS B0205 メートル細目ネジになります。実は規格上は”Pg”は20年以上前に廃止されて”M”に移行されています(!!)。2000年1月にDIN 40430が新しいDIN EN 50262規格に移行したときに新しくメトリック(Mネジ)が規定されました。
しかし、”Pg”ネジはどうして廃止になったのでしょうか?
“Pg”ネジは金属の電線管を接続する目的の規格で、薄い金属管に対応するため、ネジ山が鋭角(80°)になっています。ところが、最近のケーブルグランドやコネクタは樹脂製も増えており、樹脂にも適応できるネジ山が60°の”M”ネジに切り替えたわけです。
ところが、”Pg”ネジから”M”ネジへの切替は強制力がなく、緩やかに切り替わっています。さすがに本家のドイツでは8割から9割が切り替わっているようですが、それ以外の国では”Pg”がまだまだ使われています。そのニーズに対応するためにイルメも含めて、いろんなメーカーが”Pg”と”M”の両方を用意しています。
しかし、各メーカーも”M”ネジに切り替えつつあります。例えば、新しい製品では”M”ネジのみラインナップしています。イルメが業界に先駆けて開発した樹脂製のT-タイプエンクロージャは”M”ネジしか用意していません。将来的には”Pg”は無くなる方向です。
また、“M”ネジのほうが、サイズ感が分かりやすいというメリットがあります。たとえば、Pg29とM32ではどちらが大きな径だと思いますか?
M32だと思った方、残念ながらはずれです 笑
M32のネジ径は32mm に対して、Pg29は37mm です。だからネジ径としてはPg29のほうが大きいです。実際に現物で確かめてみましょう!
Pg29のほうがM32より少し径が大きいですね。
Mネジはネジの外径寸法をミリメートル単位でそのまま表記されているので、「サイズ感が分かりやすい」のです。
下の表を見ればPgネジとMネジのそれぞれのサイズがすぐに分かりますので参考にして下さい。あとこの表ではJISのGネジのサイズとの比較も出来ます。
最後に、豆知識としてお伝えすると、「Pg」とはドイツ語のStahlpanzerrohrgewindeの略称であるPanzergewinde(パンツァーゲウィンデ)の略で、鋼製電線管ネジのことを表しています。
因みに英語ではSteel conduit thread と訳されるようです。
[用語解説]
VDE:ドイツ電気技術者協会
DIN:ドイツ工業規格 WIKI
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