ケーブルグランドについて

コネクタ周辺機器① ケーブルグランドについて

コネクタの能力を最大限に発揮するためには周辺機器の知識も重要です。今回はケーブルグランドについてお話したいと思います。

ケーブルグランドとは、機器に引き込んだケーブルを固定し、引き込み口からの粉塵・水や油などの侵入を防ぐための部品のことを言います。

取付方法は2通りあります。

①貫通穴にネジ部を通して、裏からロックナットで固定
②機器のネジ穴に直接締め付けて固定

①貫通穴に通してロックナットで固定
②ネジ穴に直接締め付けて固定

因みにケーブルグランドには、様々な呼び方があります。
ヨーロッパではケーブルグランド(Cable Gland)という呼び方ですが、日本では、「防水ケーブルクランプ」や「シールコネクタ」などメーカーによって様々な呼び方があります。

ちなみに、WEB辞書で「gland」を調べると
1. (生物)腺。粘膜などの分泌腺 
2. パッキン押さえ
と出てきます。

さらに、「gland」を画像検索するとエラいことになるので良い子はやめましょう(笑)。
もちろん、意味は「パッキン押さえ」のほうです。シールゴムを押さえてケーブルを固定するので、ケーブルグランドという名前になったと考えられます。

ところで、ケーブルグランドのカタログを見ると同じようなサイズでも沢山の型番があります。
これは、前回ネジの規格PgMetricの2種類を紹介しました。この2種類はヨーロッパの電線管用のネジ規格で、日本ではJISのG(旧PF)ネジ 、アメリカではNPT(National Pipe Thread)ネジという別の規格があります。

そのため、各地域のネジ規格に合わせたケーブルグランドを用意する必要があります。また、収納するケーブルの太さや材質、ノイズ対策や食品向けの特殊品など様々あります。

コネクタの選定同様に、ケーブルグランドの選定もコツが必要です。下記の4つのポイントを押さえておきましょう。

1.使用する電線の仕上がり外径が対応範囲内か?

2.ネジの規格とサイズが相手側(エンクロージャのケーブルエントリー)のネジとマッチしているか? 

3.外径寸法(対角寸法)が設置環境に適しているか?

太いケーブルに対応するために大きなケーブルグランドを使うと、下記のように干渉するケースがあります。特にサイズを変換するアダプタは便利ですが、注意が必要です。

ケーブルグランドが干渉している例

参考に、イルメコネクタを使う場合の対応表を紹介します。
各種サーフェイスマウントハウジングのグランド外径許容寸法

4.取付ネジの長さは適正か?

機器に直接取り付ける場合、取付ネジの長さが長すぎると締付け切れない場合があります。

ネジが最後まで締め付け出来ていない例

なるほど、1と2はともかく、3と4は特に確認が必要ですね。


さらに、取扱の方法についても説明しておきましょう。

一般的なケーブルグランドは上下2つのナットとシーリングインサートの3つで構造されています。エンクロージャへの取り付け取り外しは以下の手順で行ってください。

ケーブルグランドの構成部品例

<取り付け手順>

① ケーブルグランドをケーブルに通しておきます。

② 先に下部ナットを機器(エンクロージャ)にレンチで締め付けて固定します。

③ 最後に上部ナットを中のシーリングゴムを収縮させながらレンチで締め付けてケーブルを固定します。

<注意>上部ナットを締め付けるときに、ケーブルも一緒に回転すると、内部配線がねじれて破損する場合があります。ケーブルを押さえながら作業してください。

<取り外し手順>

取り付けと逆の順番(③→②→①)で行ってください。

<その他のコツ>

下部ナットを上部ナットより少し強よめに締めつけておくと、取り外しがスムーズになります。
締め付ける強さは、各メーカーの仕様を確認してください。ただし、取付側の強度も考慮が必要です。
取り付け面が平坦でない場合は防水性が低下しますので、ガスケットを使用しましょう。

参考までに、ケーブルグランドの対角寸法は以下の式を使って求めることができるので参考にして下さい!

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

総合カタログダウンロード

イルメ コンフィギュレーター

仕様に最適なコネクタを選定

アプリケーション

用途別に最適なコネクタを選定

各種ダウンロード

コネクタお役立ち情報配信中

ページ上部へ戻る