コネクタ選定④ インサート選定(3)

今回はインサートの選定の最終回、結線方式について説明します。

コネクタについて学ぼう②で解説した通り、インサートは電気接続を行う重要なパーツです。言い換えると電線と電線をつなぐパーツになります。まずは、電線の構造を見てください。

電線断面図

当然ですが、電線の中で電気が通っているのは”導体”になります。この導体を接続する方式を”結線方式”といいます。下記のコネクタ断面図を見みましょう。

インサート断面図

電線が銀色の金属につながっていますね。上下はオス・メスという感じでしょうか?

その通りです。インサート内部の”コンタクト”という部品が”導体”と接続します。コンタクトにはオスとメスがあって、コネクタが嵌合したときに電気接続を行います。

電線やインサートの構造がわかったところで、実際の接続方式について解説します。接続方式には大きく3種類があります。

3種類を紹介しましたが、実はネジ式は主流から外れつつあります。構造的にネジ式はシンプルで、産業用コネクタが誕生した当時の主流でしたが、ネジ式はいくつかのデメリットがあります。

  • ネジ締め作業工数
  • トルク管理の必要性
  • 振動などによる緩み
  • 電線保護板またはフェルールの必要性

バネ式の結線方法は端子台として1960年代に開発され、コネクタにも1990年代に採用されています。バネ式はネジ式の欠点をカバーしますが、切り替わるのに数十年の歳月を要しています。

  • ワンプッシュで結線完了(作業時間短縮)
  • トルク管理不要、作業者の技量による差がほとんどなし
  • 一定圧力が常にかかるため、振動に強い
  • 電線保護板やフェルール不要(※PushIn タイプはフェルール必要)

では、現在主流のバネ式と圧着式を比較してみよう。下記に特徴と適合用途をまとめましたが、基本的にバネ式は現場加工が多い用途圧着は量産で密度が必要な用途に最適といえます。

用途に合わせた選択が大切です!

圧着式結線について少し補足します。高密度で量産用途では圧着が最適であると説明しましたが、高電流の用途でも圧着が最適です。電流値が1Aと100Aで比較してみましょう。

オームの法則から、発熱の割合W(ワット)は以下の式で求められます。

W=I^2 x R   (I:電流[A]、R:抵抗[Ω])

コネクタの抵抗を1mΩとして、1Aと100Aで比較すると、
1Aのとき W=1^2  x  0.001 = 0.001 (W)
100Aのとき W=100^2 x 0.001=10 (W)

1時間あたりの発熱量をカロリー(WIKI)に変換すると、
0.001(W) x 1(Hour) = 0.8598 (cal)
10(W) x 1(Hour) = 8598.45 (cal)

1カロリーは1リットルを1℃上昇させる熱量なので、その差は歴然です。

高電流では低い抵抗値で安定していることが大切です。バネ式は金属部品の線接触です。圧着は下記の通り、導体全体を包み込む面接触で低い接触抵抗を実現します。

圧着したコンタクトと結線部の断面

高電流の用途のときは圧着が一番安心です。

次回は角型コネクタの選定⑤ エンクロージャの選定について解説します。

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