コネクタ選定③ インサート選定(2)

今回はインサートの選定の続きで電圧についてです。

前回は電流の選定について説明しましたが、ポイントは使用する電線径と環境温度によって限界電流が変わるということでした。再度、インサートの仕様例を見てみましょう。

“定格電流”はシンプルな表記ですが、”定格電圧”はややこしい表記となっています。EN/IEC61984はコネクタについて学ぼう⑥で解説したとおり、コネクタの性能を規定する国際規格です。

定格電圧だけでなく、定格インパルス耐電圧や汚染度ってなんでしょうか?
汚染度が太字になっていますね。

すこしややこしいので、順番を追って説明します。まず、定格電圧ですが、電圧は供給されるシステムによって規定されます。例えば日本の一般的なコンセントは100Vですよね?

したがって、定格電圧は実際に存在する電源システムの値が使われています。
下表は世界で使用されている電源電圧の表です。

いろんな電圧が使われているんですね!!
でも、三相4線システムはどうして2種類の電圧が並んでるんですか?

そうですよね。三相交流についてはWIKIの説明に任せるとして、三相には4線システム(スター結線)と3線システム(デルタ結線)があります。
下記の絵を見てください。

4線システムをコネクタで接続する場合は4本の線と2種類の電圧が必要になります。3線システムの場合は3本の線と1種類の電圧になります。そのため、4線ではこの2種類を併記するんです。

ちなみに、4線システムの電圧ですが、中性点と各相の電圧(相電圧)と各相間の電圧(線間電圧)は 線間電圧=√3x相電圧という関係になります。

ほんとうですね! √3は1.7320508(ヒトナミニオゴレヤ)だから、220/380を計算してみると、220 x 1.73 = およそ380になりますね!

つぎに定格インパルス耐電圧について説明します。これは絶縁破壊(WIKI)する限界電圧を意味します。大きな電圧がかかったときに、インサートの絶縁を壊してショートしてしまう現象です。

ショートしたら火事になったり、機械が壊れてしまったり大変ですね!どんなときに発生するんでしょうか?

たとえば、落雷によって電源ラインに大電圧が発生する雷サージ(WIKI)では3〜4kVもの大きな電圧が瞬間的に発生することがあります。

イルメコネクタは十分なインパルス耐電圧を持っていますので、通常は気にする必要はありません。また、”定格”とついているのは、使用する電源の種類により、推奨のインパルス耐電圧が規格で定められているためです。

最後に汚染度ですが、コネクタについて学ぼう⑥でも一度紹介しましたが、下記の表を再度見みましょう。

前回、インサートの限界電流は温度によって決定されるという話をしましたが、インサートの耐電圧は絶縁性能によって決定されます。絶縁性能は、各電極間の形状・距離・材質によって決定されます。

ところが、使用環境も絶縁性能を左右します。ホコリや水分があると、電気が伝わりやすくなるので、絶縁性能が低下します。

イルメコネクタは防水・防塵性能があるので汚染度2でいいのでしょうか!

その通りです。ちなみに、一部のコネクタでは下記のように部分的に使用することで、定格電圧をアップすることもできます。詳しくはメーカーに問い合わせてください。

特殊電圧の例

次回は角型コネクタの選定④ インサートの選定(その3) 結線方式について解説します。

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