簡単化・省人化実験<丸型vs角型>
コネクタ素人が実際に体験!
シリーズコネクタと人手不足では、現場で簡単に省人化や簡単化を実現するコネクタの活用方法をご紹介していきます。
今回は、一般的な防水コネクタの”丸型”と”角型”に着目して、実際に簡単化・省人化ができるかを検証していきたいと思います。
(日本の製造業人手不足に関する記事はこちら)
この記事を書いている私はイルメに新卒で入社して半年になります。
コネクタの加工はもちろん、製造現場もほとんど行ったことがありません。
そこで、実際に素人の私が加工を行うことで、どれほどのメリットがあるかを体験してみました!
作業者(筆者)スペック
・製造業界の知識0で入社し、現在6ヶ月目
・イルメを通して産業用コネクタの存在を知る
・文系大学出身
・不器用
・趣味 ボルダリング
防水コネクタの横綱<丸型vs角型>
防水コネクタといえば、丸型または角型コネクタがあります。
丸型(MIL)コネクタは米国発祥で、航空産業を中心に発展してきた製品です。
角型コネクタは欧州発祥で、制御システムを対象に開発された製品になります。
いずれも実績も多く信頼性の高い製品で、まさに東の横綱”丸型”、西の横綱”角型”といった感じです。(丸型と角型の詳細についてはこちら)
角形コネクタは制御システム用に開発された背景から、”誰でも簡単・確実に加工できる”設計となっています。
実際に、ほぼ同様の電気性能を持つ丸型・角型コネクタを用意して、結線時間・組立時間・脱着時間で三番勝負を行ってみました。
<条件>
2つのタイプのコネクタを使用。極数は同等とする。
今回のテーマは簡単化・省人化なので、角型コネクタは2つのコネクタを統合した構成にして、そのメリットをはかる。
一番勝負 -結線時間-
まずは、コネクタ加工の基本ともいえる結線作業です。
【丸型コネクタ 半田結線】
丸型コネクタでは、半田結線が主流です。
電線およびコネクタ側に予備半田を行って、一つ一つ結線作業を行います。
私は半田ゴテを触るのは中学の技術家庭科の授業以来なので、10年振りとなります。
十分に熱しないと半田加工ができないのですが、熱しすぎるとケーブル被覆が溶けてしまったり、逆に十分に溶けずに中途半端な状態で固定されたり。
熟練した技術がないと、安定した品質で配線するのは難しいと感じました。
とにかく結線を終わらせて(品質は全く自信がありませんが)、作業時間はこんな感じとなりました。
Youtubeを観て半田付けの予習はしましたが、実際に行うのは難しかったです。
丸型コネクタの結線時間
【角型コネクタ 圧着結線・バネ(ボタン)結線】
角型コネクタでは、主に圧着結線か、バネ結線が主流です。
今回はMIXOモジュラーインサートを使用して、圧着タイプとワンタッチボタンが特徴のバネ式SQUICHタイプの組み合わせでテストしてみます。
・圧着 → 被覆を剝いた電線をコンタクトに挿入して、専用の圧着工具でカシメます。カシメるにはそれなりの握力が必要ですが、仕上がりは、電線とコンタクトが一体化されており、安心感がありました。
・バネ → 電線を挿して、オレンジ色のボタンと押すだけと、非常に簡単なSQUICHコネクタ。結線されているかどうかは、ボタンの状態で確認できるので安心です。
念のため、配線後引っ張ってみましたが、しっかりと固定されていました。
いずれも工具や機構が仕事をしてくれるので、特別な技術は必要なさそうです。
コンタクトに挿入 圧着工具で
カシメる圧着完了 挿して押すだけ
裸線のまま差し込み ボタンを押すだけで完了
角型コネクタの結線時間です。
私でも品質的に安心感のある結線ができたという印象です。
角型コネクタの結線時間
二番勝負 -組立時間-
防水コネクタなので、エンクロージャなどのパーツを組み立てる時間を確認します。今回はケーブルの防水処理を行うケーブルグランドやクランプは省きます。
【丸型コネクタ】
丸型コネクタの場合、制御盤側の部品であるレセプタクルは組立の必要はなく、機械側のプラグのみカバーをする必要があります。
今回、リング固定式とネジ固定式の2つを用意しました。
ねじ式とリング式 蓋を被せる ネジを締めて固定
蓋を被せる リングをスポッと ひねって固定
丸型の組立時間です。
蓋がはめにくく、意外と時間がかかってしまいました。
丸型の組立時間
【角型コネクタ】
せっかく角型を使うので、省人化を行うために2つのコネクタを統合します。
丸型の電気仕様と同等のインサート2つを組み合わせて一つのコネクタを構成していきます。
インサートとフレーム インサートを組み合わせて フレームに組み込む 4辺のネジでエンクロージャに固定
角型コネクタの場合、制御盤側のハウジング、機械側のフードとそれぞれに組立が必要となります。両方の組立時間をあわせた結果がこちら。
角型コネクタの組立時間
三番勝負 -脱着時間-
一番勝負の結線は角型、二番勝負の組立は丸型に軍配が上がりました。
今のところは、両者ともに白星と黒星1点ずつですね。
では、最後にコネクタの真髄ともいえる、脱着(装着・取外し)時間の比較を行います。
【丸型コネクタ】
2つの丸型コネクタを接続していきます。
赤丸のキー溝部分を合わせてからひたすらひねひねひねひねひねひねひね。
どこまで回すんやー!と叫ぼうと思ったところで、完了でした。
キー溝を合わせる ひねひね 完了
丸型装着時間 丸型取外し時間
2つの丸型コネクタの脱着の合計時間は 67.18秒
ネジを回すだけなので、作業自体は簡単ですが、コネクタの周辺にスペースが無い場合には、回すのが大変だと思います。
また、締付け度合いが弱いと防水性に問題が発生することもあるようなので、締め付ける強さの調整も難しいと思いました。
【角型コネクタ】
次に角型コネクタの脱着時間です。
はめ込んで レバーでロック
角型装着時間 角型取外し時間
角型コネクタの脱着時間は 10.14秒
秒ですね。グサッと差し込んで、レバーでロックするだけなので、とても簡単。固定状態もレバーの位置でひと目で分かるため、安心感があります。
まとめ
ここまで丸型コネクタと角型コネクタの比較を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか?
気になる結果は以下の通りです。
角型コネクタは、丸型に比べて作業時間を約50%削減可能という結果になりました。
今回の検証を行うまでは、角型の方が作業性が良い(らしい?)といった状態でしたが、これからは自信を持って角型の作業性の良さをご紹介できそうです。
丸型をずっと使用しているが、角型に置き換えてみても良いかもと思われた方!
お客様の仕様に合わせて最適なご提案ができるよう、選定から承ります。
ご質問やお問い合わせは、下のフォームよりお気軽にご連絡ください。
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