コネクタについて学ぼう⑧ ノイズとコネクタ
機械のトラブルでノイズはつきものです。今回はコネクタとノイズに関して解説します。
角型コネクタの構造とノイズ耐性
上記は一般的な角型コネクタの例です。角型コネクタはEN61984に基づき設計されており、金属エンクロージャは優先的に接続する保護アース(接地の詳細についてはWiki(接地)を参照)と導通することが求められています。
実際にはインサートにあるアースプレートという部品上にアース接続部とエンクロージャへの固定ネジがあることで電気的につながっています。
したがって、金属のエンクロージャは電気的に安定しており、またインサート部とは十分な距離をもって絶縁されていますので、基本的にはノイズの影響を受けにくい構造となっています。
しかし最近、制御システムの進化の中で、シビアなセンサー信号をあつかったり、または同一コネクタの中に動力と通信ラインを複合化するなど、ノイズ対策の必要性も高まっています。
同一コネクタ内に動力と通信を共存
角型コネクタの特長の一つとして、モジュラー式インサートがあります。これは用途に応じたインサートを組み合わせて使える技術のため、コネクタの集約化や小型化に大きく寄与します。しかしながら、動力と通信ラインを同一にした場合には、動力側からのノイズが通信ラインに伝播してしまう可能性もあります。
この場合の対策方法をいくつかご紹介します。
① シールドタイプコネクタ
通信ラインをシールドで保護するコネクタです。様々なタイプがあり、イーサネット用や多軸シールドや同軸ケーブル対応などが揃っています。当然ですが、配線する通信ケーブルにはシールドが使われていることが前提になります。
② 光ファイバーコネクタ
光通信のため基本的に電気ノイズの影響を受けません。一般的なSCタイプの光ファイバーやPOFといわれる樹脂ファイバーにも対応しています。
よりシビアなノイズ対策(EMC対応)
よりシビアなノイズ対策として、EMC(電磁両立性 ElectroMagnetic Compatibility)への対応が挙げられます。
(EMCの詳細についてはWiki(電磁両立性)を参照)
特に欧州に機械を出荷するためには、EMC指令(2014/30/EU)への適合が必須になりますので、電気設計者は電磁ノイズの発生を防ぐことと、また外部ノイズからの影響を受けない設計を行った上で、実際のテストを行う必要があります。
前述のように、金属の角型コネクタを使用している場合は基本的にノイズの影響を受けにくい(出しにくい)構造となっていますが、より高いノイズ対策を求められることがあります。
角型コネクタにもEMC対応に特化したシリーズがあります。標準品との違いは、以下の3点です。
・導電性塗膜により表面の導通性をアップ
・導通性ガスケットによりエンクロージャ間を導通
・EMCケーブルグランドを使用してシールドをエンクロージャと同電位化
実際にはEMCタイプを使用すれば規格をパスするわけではありません。標準品でも問題ないケースも多いので、標準品がだめだった場合の次善の策と考えたほうが良いでしょう。
なお、EMC対策についてはコチラで詳しく解説されています。
番外編 シールドの接地
通信ラインのノイズ対策としてはシールドケーブルによる保護は非常に一般的な対策ですが、シールドによる保護の効果を確実にするためには、シールドの接地が非常に重要になります。
ご紹介するシールドクランプは制御盤内のDINレール等の構造部品とケーブルのシールドを接地させるための部品です。
用途に応じて様々なタイプがありますが、ケーブルをインシュロックで固定するものなのは、ケーブル荷重の分散もできますのでおすすめです。
詳しくはコチラをごらんください。
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