コネクタ選定② インサート選定(1)

前回に引き続き、コネクタの選定です。今回からインサートの選定について説明します。


インサート選定の手順

インサートは電気接続を行う重要なパーツです。下記の手順で選定していきます。少し手間ですが、最適な商品を選定するために頑張りましょう!


STEP 1 コネクタタイプの選定

まず、コネクタタイプの選定ですが、角型コネクタのインサートは大きく分けて2種類あります。
汎用タイプモジュラータイプです。

モジュラータイプはレゴブロックみたいに組合が出来ます。
どうやって使い分けるんでしょうか?

比較表にあるように、モジュラーは電気信号だけでなく空圧など様々な信号を扱えて便利ですが、フレームなどの部品が増えるので、コストや組み立ての手間は汎用タイプに比べて多くなります。基本的に1種類の信号は汎用、複合した信号はモジュラーという感じです。


STEP 2 電気仕様・結線方法の選定

次に電気仕様・結線方法ですが、コネクタの基本とも言える部分なので、しっかりと押さえておきましょう。
下記はコネクタについて学ぼう⑥でも紹介したコネクタの仕様書の一例です。
これを元に解説します。

極数については、その名の通り接続できる最大の電線数を表しますので、用途に合わせて選べば良いのですが、電流と電圧については、少し注意が必要です。

まず、電流についてです。仕様書上は10Aと記載されていますが、使用する環境によって実際に流せる限界電流は大きく変わります。前回紹介した角型コネクタカタログ・サンプルの左下にある表を見てください。

この表はディレーティング曲線といって、インサートの電流仕様を検討するのに欠かせないものです。縦軸が限界電流値、横軸が周囲温度、そこに使用する電線の太さ毎の数種類のカーブが描かれています。

たとえば、このインサートの定格電流は10Aですが、2.5mm²のケーブルを使っていれば、60℃の環境で約15Aを流すことができます。逆に同じ60℃でも1.0mm²のケーブルだと約10Aが限界です。また、1.0mm²で温度が100℃になると6Aしか流せません。

つまり、電線は太いほど電流が流せて周囲温度が高くなるほど電流が流せなくなるんですね。どうしてそんなことが起こるんでしょうか?

答えは、インサートの限界電流は電線の温度で決定されるからです。インサートは絶縁樹脂なので、耐熱温度は金属の電線より低くなっています。一般的なインサートの耐熱は125℃前後で、それを超えると溶けたり、場合によっては発火する可能性があります。

電線の太さによる違いは導体抵抗値で、細い線ほど導体抵抗が高い=同一電流でも発熱が大きくなります。ちなみに、ディレーティング曲線は全ての極に最大電流を流した限界値に20%のマージンを加えているので、ある安全を見た設計値となっています。

つまり、うまく温度環境と電線の太さを組み合わせれば、定格よりも高い限界電流に対応できる!オトクですね!

一般的にコネクタのサイズは定格電流によって決まるので、条件によっては一回り小さいコネクタも使えます。このあたり、まだまだノウハウがあうので次の機会に説明します。

次に電圧についてですが、使用する環境なども含めて少し複雑なので、次回詳しく説明します。

次回は角型コネクタの選定③ インサートの選定(その2)について解説します。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

総合カタログダウンロード

イルメ コンフィギュレーター

仕様に最適なコネクタを選定

アプリケーション

用途別に最適なコネクタを選定

各種ダウンロード

コネクタお役立ち情報配信中

ページ上部へ戻る