世界標準の産業用コネクタ　ILMEブログ

コネクタ用途徒然草　工作機械⑥

今回は工作機械でのコネクタのメリットについて切り口を変えて深堀りします。

制御盤の扉は開けてほしくない！

工作機械は多くのモーターやセンサーが接続された高度なシステムです。制御の心臓部である制御盤も精密に作り上げられています。
その内部には電源や各種電機制御機器が多数配置され、極めて複雑に配線されています。そのため、制御盤内への不用意なアクセスは感電リスクを高めるだけでなく、装置の誤動作や故障の原因になりかねません。
制御盤（機械の電気装置）の安全規格である、IEC60204-1では感電保護のためにエンクロージャ内へのアクセスには鍵またはツールを必要と規定しています（内部の感電危険箇所がIP2xまたはIPxxBで保護されている場合を除く）。

少しまじめな話を離れて、やはり電気設計の立場から考えますと、自社のエンジニアによる立上げやサービス時以外には制御盤の扉は開けてほしくないというのが本音だと思います。
一方でユーザー側のメンテナンスやオプション追加など、追加配線が必要になる場面もあります。今回はコネクタ周辺部品を活用して、できるだけ制御盤内部へのアクセスを防ぐ方法についてご紹介します。

いまや必須のネットワーク配線

上記の写真は大げさですが、NCやPLCと外部システムのネットワーク配線はもはや必須となっています。
外部システムとの接続ですので、多くの場合は機械の設置後に配線されます。
この場合に活躍するのが制御パネル用コネクタです。
下図のように制御盤内では接続が完結しているため、外部からの接続で対応が可能です。

簡易インターフェースコネクタ

簡易インターフェースコネクタ （イルメ型式　ATR C22）は、制御盤パネル面に設置して使用します。内部のパーツを取り替えることでUSBなどにも対応します。保護性能はIP55ですが、外部からの配線には保護がありませんので、常時接続には適しません。

防水LANコネクタ

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常時接続の場合は少なくともIP54以上の保護性能が必要となります。
そこでパネル用防水LANコネクタ（イルメ型式　CJZ 8 IN)をご紹介いたします。
このコネクタは角型標準タイプの小型ハウジングにRJ45のメスメスコネクタを組み込んだもので、制御盤内は一般的なLANケーブルでPLCなどの制御機器に接続し、パネル面側は防水LANコネクタで接続します。
未使用時にもカバーによってIP67の保護性能を維持することが可能です。

使い勝手も良い商品なのですが、一つだけ問題があります。
このコネクタにつなげるRJ45オスコネクタの加工です。通常RJ45コネクタはオスコネクタのツメでメスコネクタとのロックを行うことで、電気的・機械的な接続を行います。

防水コネクタはロックレバーによって接続を行いますので、RJ45オスコネクタはハウジング内で正確に固定される必要があります。そのため、従来はオス側は専用コネクタを必要としていましたが、汎用LANケーブルに対応したアダプタによって、より簡単に接続できるようになっています（イルメ型式　CJK 8M)。

番外編（便利グッズのご紹介）

制御盤周りで角型コネクタを使うときの便利グッズをご紹介します。

角穴用プラグ　（イルメ型式　AB-BPx.x）

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角型コネクタは名前の通り、取付けも四角の穴＋ネジとなります。
オプション用のコネクタを用意する場合、従来では未使用でも保護のためにコネクタを設置する必要がありました。
この角穴用プラグは、オプション用の角穴とネジ穴をワンタッチで塞ぐことができます（IP54の保護性能を確保）。
使用するときは、マイナスドライバーでパチっと外すことができます。
パネルの厚みによって最適なプラグ型式が変わりますので、詳細はイルメにお問い合わせください。

分割ケーブルグランド（イルメ型式　OSF xx）

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RJ45ケーブルをはじめ、加工済みのケーブルを制御盤に引き込むのは頭痛のタネです。防水と固定ができるケーブルグランドは非常に便利な商品なのですが、この加工済みケーブルの扱いに制限がありました（ケーブルグランドを通過できるサイズに制限あり）。
OSF分割ケーブルグランドは２つに分割する構造を持ち、また内部のガスケットに割が入っているので、加工済みケーブルも簡単に収納することが可能です。
もちろん、イルメの角型コネクタとの相性もバッチリです。
また、ガスケットには多くのバリエーションがあり、多穴のガスケットを使うことで複数のケーブルを引き込むことも可能です。
唯一の弱点は保護性能が最大IP54となっている点ですが、制御盤面での取付け用途のほとんどでは問題なくご使用いただけます。