工作機械のコネクタ用途

コネクタ用途徒然草 工作機械①

工作機械は産業用角型コネクタが多く使われている業界の一つです。
このシリーズでは用途や角型コネクタのメリットについて徒然なるままに解説いたします。

工作機械について

ご存知の通り、工作機械は”マザーマシン(機械の母)”とも言われ、日本の工作機械産業は世界でもトップシェアを誇ります(最近は生産金額では中国に抜かれているようですが)。
工作機械に関するトレンドはこちら(日本の工作機械、一体何がすごいのか?:ダイヤモンド・オンライン)が参考になります。

優秀な日本の工作機械はやはり海外への輸出も盛んに行われています。日本工作機械工業会によると、2020年の受注金額 約9000億円のうち、65%程度が外需となっています。特に中国向けは約2000億円で20%以上を占めます。

一方で、工作機械の業界はコロナ禍の影響を大きく受けました。2020年は前年比で-26%と大きく下がっています。電子機器(たとえばiPhoneのケース)では比較的堅調ですが、輸送関係では精密加工が必要な航空機や鉄道などが大きくマイナスし、また自動車も電動化に伴って内燃機関向けの需要が減っています。
長期的にはマーケットは緩やかな成長が見込まれていますが、中国メーカーの台頭など、競争も激化しています。

環境性能と切削コンタクト

写真のように、工作機械ではクーラントを使用したり、加工した切り粉など、電気接続を行うコネクタにとっては、かなり手強い存在です。
さらに、工作機械は大手メーカーから町工場まで幅広いユーザーに使われており、長い耐用年数が求められます。

厳しい環境に、長い耐用年数。非常に厳しい要求になりますが、角型コネクタはその特徴の一つである切削コンタクトにより、この要求をクリアしています。

↑のとおり、切削コンタクトはオスとメスが同軸に配置されています。
これにより、様々なメリットがあります。

  • 高いワイピング効果
    オスコンタクト表面にクーラントや切り粉がついていても、結合動作でメスコンタクトが拭き取ることで確実な電気接続を実現する
  • 広い接触面積
    全周方向でオス・メスコンタクトが接触しており、より低い接触抵抗と汚れに対するロバスト性を確保
  • 耐振動性
    振動によりオス・メスコンタクトの接合角度が変わっても、全周方向での接触のため切断しにくい。
  • 熱変化による変形がしにくい
    熱による膨張はオス・メスともに同じ軸線上に発生し、収縮時に同じ状態に戻るため変形がしにくい
  • 高い強度
    一本の金属棒からの切削加工(削り出し)のため、機械的強度が高い
  • 高精度な表面
    一般的に切削加工は高精度な仕上げが可能。

実際にイルメでは年間で何百万本ものコンタクトを出荷していますが、経年劣化による接触不良は発生していません。
当然、良いことばかりではなく、切削コンタクトはプレスコンタクトに比べると、コストが数倍高くなります。
下記のような用途では特に切削コンタクトの使用をオススメします。

  • 数A以上の動力配線
  • クーラントなどの汚染が高い場所
  • 振動の多い場所
  • ユーザー操作が多く、破損の恐れがある場所

加工性とメンテナンス

CD/CC圧着コンタクト用工具 CCPZ MIL

コネクタの選定を行うときに、結構重要なのが加工性とメンテナンスです。
量産機械の場合、ハーネス加工の工数をできるだけ減らし、また信頼性を確保することは非常に重要になります。
一方で、工作機械は長い耐用年数が要求されますので、必然的にオンサイトでのメンテナンスも必要になります。

高密度圧着式を使う場合には、やはり作業工数が重要になります。↑の写真の手動工具では、大量生産の場合はかなりキツイです。
そこで、今回はエアーをつかった半自動圧着工具をご紹介します。なれてくるとプシュ!プシュ!と簡単に加工ができます。
こちらの動画をご確認ください。

CCPZ P エアー式半自動圧着工具

逆に、工具不要タイプも進化していて、高密度タイプや超小型などもラインナップが増えてきています。

ILME 工具不要コネクタ SQUICHシリーズ

徒然なるままに、工作機械におけるコネクタについて語ってまいりましたが、今回はここまでとさせていただきます。次回も具体的な用途やメリットについて、深堀りしてみたいと思います。

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