制御盤のモジュール化④

今回は閑話休題、モジュール設計の視点から見た角型コネクタについて考えます。

角型コネクタもモジュール構造

モジュール設計の最大のメリットは多品種・少量生産のものを効率的に設計・製造することにあります。
イルメの取扱っている産業用角型コネクタもまさにそういったコンセプトで開発された商品です。
産業用角型コネクタのモジュラーコンセプトについて解説していきます。

まずは基本的な構造です。上図はケーブル間を接続するコネクタの概略図ですが、構造としては”電気接続部”と”保護部”の2つに分けられます。
電気接続部はオス・メス、保護部はハウジング・フードと2対となっています。

上記は実際のコネクタの写真です。コネクタですのでオス・メスが接続できることはもちろんのこと、電気接続部と保護部の接続がモジュール化されています。

保護部のモジュール構造

保護部は名前の通り、電気接続部を外部環境から保護する機能に加えて、ケーブルの取り回しを行うパーツです。上図のように配線・設置方法に応じたバリエーションがあります。
また、標準品でIP65/66の保護性能を持っていますが、温度や化学薬品への耐性など、保護目的に合わせた特殊バリエーションも存在します。

前述の通り、保護部の各モジュールは電気接続部のモジュールと相互接続性があります。電気接続部は用途によって11種類のサイズがありますので、保護部も各サイズに合わせたバリエーションを揃えています。



電気接続部のモジュール構造

電気接続部(インサート)はさらに高度なモジュール設計となっています。
上図のように一体型(シングルインサート)とモジュール型の2種類があります。

さらに電気接続部の中身は、金属でできたコンタクトと、それを支えるインサートで構成されています。各パーツもモジュールとなっています。



<コンタクトバリエーション>

電気接続パーツであるコンタクトもモジュール化されています。上図のように、5A-10A-16A-40A-70A-100A-200Aと電流値に応じてバリエーションが揃っています。さらに嵌合回数の増加や微小電流を扱う場合等に使われる金メッキタイプがバリエーションされています。これらのコンタクトは以下のように電線の接続方式毎のインサートに搭載されます。

<シングルインサートバリエーション>

究極のモジュール構造 MIXO

もう一つのバリエーションであるモジュール型は究極系といえます。
一体型と異なり、用途に応じたパーツを自由自在に組み合わせることができます。
構成は下記の真ん中になるフレームにインサートモジュールを組み付ける形となります。

このフレームが前述のエンクロージャサイズ毎に用意されているので、まさに無限大の組合せを実現します。
この技術により、電気の接続だけでなく光や空圧などもコネクタ化することが可能になりました。

空圧・光・LAN・動力を統合した例

今回は閑話休題として、産業用角型コネクタのモジュール構造についてお伝えいたしました。
コネクタの難しいところは、アプリケーションによって電気仕様や環境、機械寸法など様々な要求が異なり、結果として一品一様になってしまいます。
産業機器は民生用に比べて生産数量も少ないので、やはりモジュール設計を導入することが非常に重要であると思います。
驚くべきところは、こういった思想を20年以上前から持って製品開発が進み、また自社だけでなく複数のメーカーが標準化を進めているというところです。
日本の工業製品では見られない特徴と言えるかもしれません。

一方で、モジュール構造をしている産業用角型コネクタですが、それでも日々のニーズに合わせた商品開発を進めており、イルメの取扱品目は5000種類を超えています。さらなる標準化を進めていく必要がありそうです。

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