電圧と電流を操る?!

今回はコネクタの活用方法として、電圧や電流をうまく活用する方法をお伝えします。

コネクタ選定における電圧と電流

コネクタ選定②で解説しましたが、電気接続を行うコネクタを選定する場合には、当然のことながら用途で使う電流や電圧にマッチしたコネクタを選ぶ必要があります。

ところが、一般的に電流値や電圧値が大きくなるほど、コネクタのサイズが大きくなったり、極数が足らないなんてことが良くあります。
ここでは、コネクタの電圧・電流に関する安全設計についての解説と合わせて、定格以上で活用する方法についてお伝えします。

まずは電圧、基本は距離。

まずは電圧についてです。高電圧による事故は絶縁破壊による放電が引き起こします。一般的にはコネクタには複数の極が入っていますから、隣の電極との絶縁破壊が発生すると、放電による短絡やそこからの回路破損などを招きます。絶縁破壊については、ここが参考になります。

インサートは樹脂でできていますので、絶縁性も樹脂の特性で決まります。基本的には下表のように高い絶縁性を持っています。インサートでよく使われるPC(ポリカーボネート)では1mmの厚みで20kVの耐電圧を持ちますので、一般的な産業用途においては十分です。



ただし、これは絶縁体で導体を完全に覆った場合の耐電圧です。
ところが、コネクタはオスとメスで分離されており、嵌合した場所でわずかな空間が生まれてしまいます。高い電圧を持った電子は、この隙間を通って絶縁破壊につながることがあります。
下図のように、遮蔽物がない場合は空間を伝わりますが、遮蔽物がある場合は電子は表面に沿って伝わります

この場合の絶縁性は下記の3つの条件によって決定されます。

① 絶縁体の材質
② 沿面距離(表面に沿った導体間距離)
③ 表面の不純物(ホコリや水滴など)


①の絶縁体の材質はIEC 60664-1 Ed2.0によって材料グループとして定めてあり、用途に応じて最適な材質を選択します。
②の沿面距離についてはコネクタのデザインによって耐電圧を高める工夫がなされています。

③の表面の不純物は、ここに記載した通り汚染度によって定義されています。

規格に関する詳しい資料はこちらを参考にしてください。

十分な距離を取るための3つの方法

前述の通り、高い耐電圧を確保するには沿面距離が大切です。ここでは、高電圧に対応するための3つの方法をご紹介します。

① 凄い高電圧コネクタを使用する(CX02 4H)

モジュラータイプになりますが、最大5000Vまでの高電圧に対応できるコネクタを紹介します。インサートの材質をPTFEにして、大きな沿面距離を確保したデザインです。電線を接続する部分も熱収縮チューブで隙間を無くしています。
詳しい資料はこちら

② 歯抜けだけど高電圧なタイプ(CMSH-SQUICH® )

こちらはちょっと変わったコネクタです。端子を歯抜けにすることで最大1000Vに対応します。評判のSQUICH®を採用していますので、配線も簡単です。

詳しい資料はこちら

③ 歯抜けで使って高電圧!(CD/CDD/CQEシリーズ特殊電圧 )

すでに一度ご紹介していますが、高密度な圧着型のインサートを歯抜けにして使うことでCQEシリーズなら最大1000Vまで対応可能になります。ちょっと勿体ない気もしますが、もともと高密度なコネクタですので一つのソリューションといえます。


詳しい資料はこちら

今回は高電圧に対応する方法をお伝えしました。次回は高電流に対するノウハウをお伝えします。

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