世界の電気安全規格

世界の規格① 電気安全規格の概要

今回は世界の規格について説明します。

これまで説明した通り、電気は便利だけど”安全に配慮する必要がある”ことは理解していただけたのでは?と思います。
これは日本以外でも同様で、世界各国でも電気安全に関する規格があります。
各国の規格に違いがあると、どんな問題があるのでしょうか?

みなさんは海外に行った時、コンセントの形状が違って困った経験はありませんか?



形状の違いで使えたり、使えなかったり。
そういった問題を解決し、貿易を円滑にすすめるための国際ルール、
WTO/TBT協定というのがあります。

〜WTO/TBT協定〜
①貿易相手国によって差別的に国内規格を適用してはならない
②国内規格は、国家安全保障上の必要性など正当な理由が無い限り
 国際貿易上の不必要な障害をもたらす目的で作られてはならない
③国内規格は、気候上の理由など正当な理由が無い限り
 国際規格を基礎として作成しなければならない

さすがに、コンセントや電圧のように、各国に普及しているものを変えることはできませんが、産業向けの規格などの統一化はかなり進んでいます。
下記は各国の機械の電気安全に関する規格ですが、ある程度共通化されています。


 IEC – 電気の国際規格 GB- 中国 NFPA-米国   EN- 欧州 JIS−日本

お気づきになられましたか?国際規格の番号と欧州の番号は一緒なんですね!

EU(欧州連合)は複数の国で構成されています。元々、各国にはそれぞれの規格団体と規格(ドイツ-DIN、イタリア-UNI等)がありましたが、現在はEU全体として統一化されており、EN規格=各国の国内規格となっています。

EN規格はもともと複数の国での適応を前提としているので、国際規格にも展開しやすいんです。ENの電気規格の策定中心のCENELEC(欧州電気標準化委員会)とIEC(国際電気標準会議)はフランクフルト協定によって規格を共同で採用することを促進しています。

実際に規格の文書を見てみましょう。

 (NFPA79 表紙)

とても難しそうですし、作るのが大変そうです。。。

作るのは大変ですが自国の技術が世界標準になる=産業として優位になります。
国家戦略として、規格化=標準化による市場の拡大と特許による保護というのは大きな流れで、特に中国の躍進はめざましいです。

ところで、前回の強制規格任意規格の話を覚えていますか?(その4参照
実は規格の取り扱いや考え方が国によって違いがあるのです。

<日本> 任意規格
JIS(日本産業規格)は産業標準化法に基づきます。基本的には”JIS認証を受けた製品はJIS規格に適合しなければならない”という法律です。JIS B 9960-1(機械の電気装置の安全)では、該当する法規制はありませんので、任意規格です。

<欧州> 強制規格
EN(欧州統一規格)は、欧州指令(EU Directive)という遵守しなければならない指令(加盟国は国内法として適用)を技術的に定義する位置づけです。欧州指令は様々あり、たとえば、低電圧指令(AC50~1000V(DC75~1500V)で使用される電気機器の安全に関する要求)では、適応範囲の電気機器は全て関連する規格に遵守する義務があります。

<米国> 任意+強制
米国での電気安全の規格では、NFPAやULが挙げられます。
特にUL(UnderwritersLaboratoriesInc.)は米国で最も有名な規格開発・認証機関で、一部の規格・州について法制化されたり、連邦政府の調達基準としてNFPAやULが必須になっていたりしますので、実際にはほぼ強制規格であると考えたほうがよいと思います。

<中国> 任意+強制
GB(中国国家標準規格)は、強制(GB)のものと推奨(GB/T)のものがあります。強制GB規格の対象製品・サービスは準拠しなければ、生産や販売、輸出ができません。推奨GB規格は法規制が無いのでJISに近い扱いですが、政令などで強制のものもあります。

国によって、色々と違うんですね!

正直なところ、JISは強制力がないため、日本のエンジニアは規格への対応に慣れていない人が多いのですが、特に電気安全に関しては強制規制になっているので、機械を輸出するときに慌てて規格対応を行うことが多いようです。

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  1. 2020年 9月 17日

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