今回は特殊エンクロージャを紹介します。
特殊エンクロージャ
前回説明しました通り、角型コネクタは耐環境性に優れており、ほとんどの用途において標準タイプで対応が可能です。
とはいえ、高温や薬品をはじめとした、より過酷な環境でのニーズもありますのでイルメではそれに対応したコネクタもご用意しています。
それぞれの紹介動画も載せていますので、ぜひご覧ください。
情熱の赤、炎のエンクロージャ(180℃タイプ)
まず、イタリアならではの情熱の赤のエンクロージャのご紹介です。通常のエンクロージャの耐熱は125℃なのですが、このエンクロージャは180℃に対応します。高温対応の粉体塗装と、特殊ガスケットで高温対応していますが、さらにインサートも専用の高温対応品を選ぶ必要があります。
(高温対応インサート)
標準品と比較すると、ネジタイプが中心など色々と制限がありますので、
詳しくは営業にお問い合わせください。
射出成形機の金型とかヒーターの用途に最適ですね。
時速300kmにも耐える凄いやつ(E-Xtreme®)
これは多分、最強といっても間違いないです。フランスの誇る世界最速列車TGVに搭載できる強さを目指したエンクロージャです。とにかく鉄道の用途では、300km/hを超えるスピードの飛び石や、氷結から塩水などなど、かなりな過酷環境に耐えなければなりません。
(ユーロスター)
E-Xtreme®(エクストリーム)は特許取得済みの特殊プラズマコーティングによって最強性能を実現しています。
この技術が凄いのは、通常のエンクロージャに特殊処理を行うことで、最強コネクタに変身するので、ほぼすべてのバリエーションに対応できることです。
船舶や風力発電をはじめとした屋外の用途では、これを選んでおけば間違いないです。
青、それは清純の色(T-タイプ ハイジェニック)
角型コネクタといえば金属で頑丈なものをイメージされると思いますが、このT−タイプ ハイジェニックは樹脂でできたエンクロージャで、食品工場の用途に適応した商品です。ご存知の通り、食品生産工程は定期的な殺菌洗浄を行いますが、T−タイプ ハイジェニックはこの洗浄に使われる特殊な薬品への耐性を持ちます。
(食品工場)
実は、青いレバーには意味があります。”青い食べ物”というのは、世の中にはあまり存在しないため、レバーに食品が付着したときに見分けやすくなっています。
この商品には別の特徴もあります。低温に対応しており、-50℃での環境でも使用可能です。標準品では低温になると結合部のガスケットが固くなってしまい、保護性能が下がります。T−タイプ ハイジェニックは特殊なシリコーンガスケットを採用しているので、低温でも安心なんですね。
ノイズ・ノイズ・ノイズ(EMCタイプ)
すこしマニアな世界になりますが、機械装置の周辺はモータなど電磁波を発生する機器がたくさんあるため、ノイズの悩みがつきものです。EMCタイプは特に耐ノイズ性にフォーカスした商品で、高い導電性を持つ塗装と導電性ガスケットでグルりと包み込んでシールドします。
ノイズ耐性を高めるためにはエンクロージャだけでは足らない部分があります。ケーブルグランドもそれに対応したものを使用することで、シールド性を高めることができます。
(EMCケーブルグランド)
このエンクロージャを使う理由はもう一つあります。CEマーキングの中に、EMC指令というのがあります。これは機器が発生するノイズを防ぐことと、外部からのノイズによる影響を受けない対策を要求する規格です。
EMCタイプはこの要求に対応するためには最適な商品です。
サーボモーターやインバーターのノイズによる誤動作にお困りの方はぜひご検討ください。
耐環境じゃないエンクロージャなんて(COB)
最後に一番の変わり者を紹介します。エンクロージャはインサートを保護し、オスメスの接続を担保するのが本来の目的ですが、このCOBパネルサポートという商品は、インサートの保護機能を持たず、接続機能に加えて、制御盤内のDINレールに固定することを目的とした商品です。
制御盤内の配線というと端子台というイメージが強いと思いますが、COBパネルサポートを使うと、
・端子台に比べて大幅に省スペース(50mm幅に最大42極)
・脱着が簡単で、複数の配線(たとえばユニット単位)の着脱が簡易
・背後の配線スペースによってダクトレスを実現
などなどのメリットが期待できます。
制御盤のトレンドとしてユニット設計というのが制御盤2030でも提唱されていますが、まさに時代の最先端といったCOBパネルサポートです。
今回は特徴のある特殊エンクロージャを紹介しました。次回は小型タイプの選定と活用について説明します。
<詳細資料>
詳細カタログは こちら
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